火曜研究会(11月9日)を開催しました。

焼田党氏(南山大学)の「Family Bargaining Powers, Education and Fertility Decisions, and Policy」では、家族内(夫と妻)の交渉力(教育水準によって決定される賃金)の多寡が子供の出生率に影響することが示され、パレート最適の状態にするための政策インプリケーションが示唆された。

第1段階で各個人が教育投資を行い、第2段階で夫婦が子供の数を決定するという、2段階のゲームのモデルが検討されている。各個人の効用関数は消費と子供の数が効用に正に働き、子育てにかかる精神的な苦痛と賃金を得るために投入する労働力が効用を減らすほうに作用する形として含まれている。男女間で子育てにかかる精神的なパラメーターに差異があると仮定している。

この研究で発見がなされたこととして均衡は必ずしもパレート最適を達成できておらず、男性の教育水準が低く労働時間が短くなっており、反対に女性は教育水準が高まっており労働時間が長くなっている(子育て時間の低下)。これを解決するための1つの手段として教育に税(補助金)をかけることが提案されていた。

フロアからの質問としてはマッチングを考慮してないところに拡張性があるのではないか、高収入の女性は市場から子育てサービスを購入することができるのではないか、子供の数が増えると子供を持つことの限界効用は低下していくのではないか(モデルの中では線形で与えられていた)、等の質問がなされた。

レポーターの感想としては、新しいことにチャレンジしている文献なので院生として見習わなければならないと感じた。教育に税(補助金)をかけることは今の時代に則さないので、どうインセンティブを与えてパレート最適に持っていくかが今後重要になると感じた。

(文責:博士後期課程2年岩本朋大)

経済学研究科では、原則として毎月第4火曜日に、定例の研究会(「火曜研究会」)を開催しております。
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経済学研究科火曜研究会


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