火曜研究会(12月19日)を開催しました。

寺地祐介氏(帝塚山大学)の『Hub Competition in Transit Markets and its Effect on Airline’s Network』では、主要な都市にある空港同士(潜在的なハブ空港)が空港利用料をめぐった価格競争をした結果、ハブ空港がどの都市に形成されるのかについて理論的な分析が行われている。ただし、以下のような仮定をもとに分析されている。

まずは、ある国では、潜在的なハブ空港が2つ存在し、国内線は各都市を結び、国際線は1国にのみ航空サービスを提供しているとしている。

次に、航空サービスを提供している企業は国内外合わせて1社であるとしている。空港間の競争に航空会社間の競争が影響を与えることを排除している。

また、空港は民営で運送市場においては、空港利用料で競争が行われているとしている。主要な都市の空港同士の人口は等しく、国際線における距離も等しい。その他各都市の人口同士も等しいものとしている。一般的に、旅客市場は、路線を結ぶ都市の人口、所得、都市の特性によって需要が決まると言われ、この仮定は、結果がそれに起因することを排除している。

最後に、消費者は家計であり、都市間を移動する手段として航空サービスを利用するものであるとしている。

結果は、市場における各主体が自らの便益を最大にしようとした場合(均衡)と各主体の便益の合計を最大にしようとした場合(最適)がある。

両者とも国内にハブ2つ存在するときと1つしか存在しないときがあるが、前者では、非効率的なネットワークが生じていた。

今後の拡張として、ネットワークの外部性(2つの空港が別々の都市を結ぶよりも1つの空港がそれらの都市を結ぶ方が効率的である状態)を内生化することや人口などの情報を非対称的にするとのことであった。

(文責:博士後期課程1年矢田部亨)

 

経済学研究科では、原則として毎月第4火曜日に、定例の研究会(「火曜研究会」)を開催しております。
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経済学研究科火曜研究会


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