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プロジェクト(2007年度)

地方分権時代における大都市税財政のあり方に関する研究-名古屋市税財政の現状・推移・将来-

期間 2006-2008年度、中間
研究代表者 森徹(研究所所員)
共同研究者 前田高志(名市大大学院経済学研究科)
森田雄一(名市大大学院経済学研究科)
加藤国昭(客員研究員・名古屋市財政局主税部主税課税制係長)
只井誠(客員研究員・名古屋市財政局主税部主税課税制係主事)


1.平成18年度末の研究経過

はじめに、前号の『ニューズレター』の発行以後に行われた平成18年度の本研究プロジェクトの活動内容について簡単に報告しておきます。

まず、2007年2月13日に第4回のプロジェクト研究会を開催し、共同研究者の森田雄一助教授(現在、准教授)が「人口構造の変化を念頭においた市町村民税に関する一考察」と題する報告を行い、研究メンバーに名古屋市財政局主税部市民税課から出席された小原知佳氏を加え、人口高齢化の進行が個人市民税の主たる担い手である雇用者数の減少を通じて個人市民税の課税ベースに及ぼす影響を議論しました。

また、3月16日に開催された本研究所の2006年度プロジェクト報告会では、研究代表者の森より、本研究プロジェクトの目的、平成18年度の研究経過、今後の研究計画について簡単に説明した後、第1回および第2回研究会での報告にもとづいて「名古屋市における税財政状況の推移と現状」と題する報告を行い、共同研究者の前田高志教授が、年齢階層別の所得・資産分布データをもとに、固定資産税に関する今後の検討課題を論じた「名古屋市の固定資産税をめぐる諸情勢-高齢化社会の影響と税務行政課題の研究序説-」と題する報告を、また森田雄一助教授(現在、准教授)が、上記の第4回研究会での報告内容に即した「人口構造の変化が市町村民税に与える影響について-名古屋市のケース-」と題する報告を行いました。なお、このプロジェクト報告会には、名古屋市財政局主税部から、本研究プロジェクトの客員研究員である只井誠氏をはじめ4名の方々の御出席をいただきました。

本研究プロジェクトチームから行った上記3つの報告内容の詳細については、本『ニューズ・レター』(No.26)と同時に配布予定の本研究所年報『国際地域経済研究』第8号所収の論文ないしは研究ノート「名古屋市における税財政状況の推移と現状」(森)、「高齢社会における大都市基幹税・固定資産税のあり方に関する基本的視点−名古屋市における固定資産税施策に関する研究序説−」(前田)、「人口構造の変化が市町村民税に与える影響について-名古屋市のケース-」(森田)に述べられています。

2.平成19年度の研究計画

今年度は、11月16日(金)に本研究プロジェクトの研究テーマに即して、本研究所並びに経済学研究科主催の公開シンポジウムが開催されることとなりました。公開シンポジウムの詳細については、次号の『ニューズレター』で広報する予定ですが、「どうなる?どうする!名古屋の税制-地方分権時代の大都市税制を考える-」をテーマに、中長期的な観点から、地方分権時代にふさわしい大都市名古屋の税制のあり方を議論する予定です。

そこで、本研究プロジェクトでは、今年度の前半には、次の2点に関して調査・研究を進め、公開シンポジウムでの議論の方向付けを行いたいと考えています。

(1) 地方分権推進に資する国地方間および地方相互間の税源配分のあり方の検討

(2) 上記の検討から導かれる市町村税制を大都市(政令指定都市)に適用した場合の問題点の検討

上記の2点の検討課題に関するプロジェクト研究会を7月上旬に行い、その後8月下旬ないしは9月上旬に第2回研究会を開いて、地方分権時代の大都市税制において中心となる税目についての中長期的見通し等を検討し、公開シンポジウムでの議論の資料としたいと考えています。

公開シンポジウム終了後は、今年度実施される税源移譲の効果の検討や、社会経済要因の変化が大都市の税収構造に与える影響を分析する方法の検討等を行っていきたいと考えています。

3.平成19年度のプロジェクト研究メンバー

本研究プロジェクトの研究メンバーは、経済学研究科所属の3名の教員に、昨年度より客員研究員として参加していただいている名古屋市財政局主税部の只井誠氏、本年4月に主税部から転出された難波伸治氏に代って客員研究員なっていただいた加藤国昭氏を加えた次の5名で構成されています。

研究代表者:森  徹(名古屋市立大学大学院経済学研究科教授、附属経済研究所所員)

共同研究者:前田高志(名古屋市立大学大学院経済学研究科教授)

      森田雄一(名古屋市立大学大学院経済学研究科准教授)

客員研究員:加藤国昭(名古屋市財政局主税部主税課税制係長)

      只井 誠(名古屋市財政局主税部主税課税制係主事)

4.プロジェクト研究に関連した活動の報告

本研究プロジェクトの研究メンバーのうち2名(森、前田)が委員として参加し、本研究と密接な関連性を持つ「名古屋市税制研究会」の第4回会合が2007年2月22日に、第5回会合が4月27日に開催され、それぞれ、個人市民税や固定資産税、法人市民税や事業所税等における現行の減免制度の事例の検証を行いながら、名古屋市における市税の減免制度を見直す際の基準について議論しました。