平成15年度


『銀行のキャッシュコーナーにおける待ち行列問題について』

伊藤 史磨子


『名古屋市図書館間の相互貸借における運送経路改善策』

鈴木 佑実












 

 


『銀行のキャッシュコーナーにおける待ち行列問題について』

伊藤 史磨子


 本論文では、多くの人が利用する銀行のキャッシュコーナーを例に取り上げ、キャッシュサービス支払機を何台設置すればよいか、支払機を1台増やすことで待ち行列の長さ・時間がどのくらい短縮されるかについて考察した。

実際に窓口1個のキャッシュコーナーでの客の到着時刻、終了時刻、到着間隔、サービス時間を調査し、そのデータから待ち行列理論を用いて窓口数を増やしていったときの系内数、空き時間の分析を行った。 また、系内数の時刻変化をみるためにグラフを描き、窓口の数をいくつにすべきか、のべ空き時間はどのくらいなのかを調べた。 結果、複数の窓口の場合は窓口1個(実際の状況)の場合よりも待ち時間がかなり短縮されることがわかった。また、待ち行列の理論モデルから求められる平均待ち時間、待ち行列の平均の長さ等を求め比較した。




『名古屋市図書館間の相互貸借における運送経路改善策』

鈴木 佑実

 


  借りたいと思った書籍を無料で借りられるというのが図書館の利点であるが、そのためには蔵書が豊富でなければならない。実際必要な書籍が利用館に蔵書として置いていない場合は少なくない。 このとき、他館から希望する書籍を一時的に借り入れる相互貸借というシステムを活用して、必要な書籍を他館の蔵書から入手することができる。 このシステムによって、現在は館が書籍を購入して貸し出すより早く利用者の手元に届くが、それでも約1週間はかかってしまう。

 本論文では、名古屋市図書館の相互貸借のシステムを調べることによって、書籍運送車の運送経路、運送回数が限定されていることがすぐに利用者に届けられない理由であるということがわかった。 そこで、書籍の運送日数の最小化と図書館間の距離の2つを同時に考慮した様々な経路設定を提案し、運送経路の改善を試みた。その結果、現在南北に分かれている運送車の経路を東西に分割して経路設定すると、より効率的に書籍を運べることがわかった。 さらに、1日に2回巡回をする図書館の存在を許すことで、少しの走行距離の増加だけで、1日のリクエスト量の約8割程度の書籍を届けられるということがわかり、相互貸借システムに改善の余地があることが確かめられた。