COLUMN

男女の働き方 〜愛知県の特徴から〜

インタビューを通じて、男女の働き方には地域差が生じていることがわかった。愛知県の働き方の特徴と、それを裏付けると考えられる要因について考えてみる。

 

第一に、性別役割分業観から特徴を考える。内閣府の調査によると「自分の家庭の理想は、『夫が外で働き、妻が家を守る』ことだ」という考えに対して賛成寄りの意を示したのは、東京都は43.8%であったのに対し、愛知県は47.8%であった。中でもこの考え方に賛同する男性は全国平均では44.4%、東京都は42.1%であったが、愛知県は49.5%と比較的高い割合であった。

愛知県は自動車産業が盛んであり、それに従事する夫の収入が比較的安定しているために、性別役割分業観が他地域に比べやや強い傾向が見られるといわれている。

 

第二に、産業構造と従事者割合から考えていく。平成22年の「国勢調査」(総務省)によると、愛知県は第一次産業従事者が2.4%、第二次産業従事者は35.0%、第三次産業従事者は62.7%であり、第二次産業従事者割合は全国1位である。一方、愛知県は第二次産業が強いものの、それに従事する女性の割合は全国平均を下回っているという指摘もある。

日本政策投資銀行の調査では、製造業の雇用者に占める女性比率は全国では30.2%であったのに対し、愛知県は25.6%であった。このことから、愛知県は製造業において女性の力を十分に活用できていない状況がうかがえる。

 

愛知県は、産業構造の影響もあるためか、性別役割分業観がはっきりとしている部分もある。しかし、その一方で、活発な第二次産業において、女性の力を十分に投入していないため、今後は理工系の女性の活躍の場を増やすことが求められるのではないだろうか。

 

(木全真希・鳥飼尚史・西村梨佐・藤田真由・前原里穂・道下光瑠)

<参考>

内閣府男女共同参画局「地域における女性の活躍に関する意識調査」(2015)

http://www.gender.go.jp/research/kenkyu/pdf/chiiki_zenhan.pdf(2017年2月参照)

愛知県県民生活部統計課「平成22年国勢調査 産業等基本集計結果(愛知県分)」(2014)

http://www.pref.aichi.jp/uploaded/attachment/38011.pdfhttp://www.gender.go.jp/research/kenkyu/pdf/chiiki_zenhan.pdf(2017年2月参照)

日本政策投資銀行「働く女性の姿に見る愛知・名古屋の課題〜『なでしこ』不在 都市の活力に影響も〜」(2014)

http://www.dbj.jp/pdf/investigate/area/tokai/pdf_all/tokai1406_01.pdf(2017年2月参照)

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