COLUMN

名古屋市の有配偶女性の就業と夫の家事貢献

名古屋市は既婚女性の就業が他の地域と比較して活発でないと言われている。

 

〔図1〕は有配偶女性の年齢階級別労働力率を全国、愛知県、名古屋市についてみたものである。名古屋市は20代後半から50代前半までの有配偶女性の労働供給が非常に低い水準にある。例えば、30〜34歳では全国55.1%、愛知51.3%、名古屋市50.0%、35〜39歳では全国58.5%、愛知57.8%、名古屋市52.8%と全国と比較して約5〜6ポイント低くなっている。愛知県の有配偶女性も30代前半で一度低下するが、30代後半には全国水準に戻っている。名古屋市では一度労働市場から退出した後、復帰までの期間が長いことが推察される。

 

既婚女性の就業が進まない要因として、本人の希望もあれば、保育所に子どもを預けることができなかった、職場の理解がなかったことなど様々なことが考えらえる。その中の1つは家庭における家事や育児の支援が得られないために、就業すると仕事と子育て、家事のすべてを女性が担わなければならないという現状である。

 

〔図2〕は名古屋市の有配偶有子女性の就業形態別でみた第1子が5歳頃の夫の家事貢献度(家事を100とした時の夫の家事負担の割合)の分布である。正規就業で働いている場合、夫の家事貢献度は0から100まで幅広く分布しているが、それ以外の就業については貢献度が20までに偏っている。言い換えると、夫が家事により貢献できるような働き方をしている者でないと妻が正規就業をすることは難しい。

 

女性の社会進出を考える場合、女性に対する支援に注目されがちであるが、配偶者である男性の働き方支援も同様に重要である。

 

(山本陽子)

〔図1〕有配偶女性の年齢階級別労働力率

男女ともコミュニケーションに関しての内容が上位を占めている。近年、女性の社会進出に伴い、家庭での男女の役割も変化している。

2016年に話題になったドラマ『逃げるは恥だが役にたつ』は、男女が「雇用主と就業員」として契約結婚するという特殊な形ではあるが、お互いにコミュニケーションをとりながら、助け合い、思いやることで良い関係を築くことができるというストーリーになっていた。

 

「男性は仕事、女性は家事」という考え方にとらわれず、できることはお互いにやるということがより良いワーク・ライフ・バランスへのカギであり、そのためにはインタビューに応じてくださった方々の多くが心がけていたように、毎日少しでも会話できる時間を作ることが大事だと考える。

〔図2〕夫の家事貢献度の分布(カーネル密度推定量)

公立大学法人名古屋市立大学

愛知県名古屋市瑞穂区瑞穂町字川澄1