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所長挨拶(2008年度)

名古屋市立大学大学院経済学研究科
附属経済研究所長
下野 恵子

 附属経済研究所は、1996年4月に3名の専任教員と助手の4名で発足し、2008年3月でまる12年が経過しました。その間、メンバーは大幅に変わり、発足当時のメンバーで残っているのは、私、下野だけとなりました。これまでの12年間、附属経済研究所は、名古屋の地域経済分析だけではなく、東海地域や日本経済における重要な課題をとりあげ、3名の附属経済研究所所員が中心となって、学内外の研究者(民間企業や公的部門の研究者、大学院生を含む)を組織し活発なプロジェクト研究を行ってきました。

 例えば、私が過去12年間に実施してきたプロジェクト研究は、「公的年金」(1996-1997)、「介護サービス産業の研究」(1998-2003)、「行政サービスと公務員:民営化への疑問」(2004-2005)、「団塊世代の大量退職と外国人労働者」(2006- )であり、さらに、2005年には特別プロジェクトとして、日本政策投資銀行との2つの共同調査(「東海地域における対内投資」、「東海地域における団塊世代の大量退職(2006年まで延長)」)を行いました。

 私以外の所員が実施したプロジェクトとしては、計量モデル分析(名古屋市の財政モデル、東海地域の産業モデル、中国の開発モデル)、東海地域の産業分析、などがあります(現在進行中の3プロジェクトの説明についてはこのHPで確認ください)。

 そして、附属経済研究所で実施されたプロジェクト研究の成果は、以下のような形で公表されています。

  1. “公開シンポジウム”(経済学研究科と共催):市民に対し研究成果を公表する場であり、附属経済研究所にとって最も重要な行事。毎年のように行われ、2007年が第12回になる。

    市民を対象:2006年までは中区役所ホール(定員400名)、2007年から名古屋市立大学病院ホール(定員250名)

    *中日新聞の共催を得ている。シンポジウムの内容が大きく取り上げられたケースもある。
  2. “プロジェクト研究報告会”:毎年3月に経済学部棟において公開で行われる。
  3. 附属研究所研究所年報『国際地域経済研究』での研究論文を公表:1999年度から年報の発行が開始される。それ以前は、各プロジェクトで報告書を作成。


  4. 学会、セミナーでの研究論文報告:日本財政学会、関西労働研究会など。


  5. 外部の専門誌、レフリー雑誌における研究論文公表:日本経済研究、季刊社会保障研究、会計検査研究、など


  6. 報告書での公表(学外機関との共同研究、文部科学省の科研費をとった場合など):

    • 岐阜県産業経済振興センター『介護サービス事業の育成・振興方策に係る調査研究報報告書』(座長:下野、2001年3月):センターのHPからダウン・ロード可能
    • 日本政策投資銀行との共同調査結果:3冊の報告書がある(このHPの『産業連携』を参照、3冊すべてダウン・ロード可能)
    • 科研費報告書(行政サービスに関する研究)、など


  7. 単行本でのプロジェクト研究成果の公表:  下野恵子・大日康史・大津廣子(2003)『介護サービスの経済分析』、東洋経済新報社。
 さらに、附属経済研究所は、月1回のペースで、“附属経済研究所・木曜セミナー”(原則として、第4木曜日18-19:30)を定期的に行っています。このセミナーは、大学院修士課程、博士課程に所属する社会人大学院生が参加しやすいように夕方に設定され、幅広いテーマを取り上げています(テーマについては、このHPのセミナーを参照)。学外の院生、教員の参加者もあります。

 最後に、2006年の独立法人化は、避けられないこととはいえ、研究者にとって決して望ましいものではないと思います。独立法人化は、よりわかりやすいテーマ、より短期的な研究成果を求められることを意味します。そのような状況のもとでも、3年間を上限とするとはいえ、比較的自由なテーマ、比較的長い研究期間を保障される貴重な研究の場として、附属経済研究所の一層の活性化を図っていきたいと考えています。

具体的には、まず、今まで学内の他研究所にさえ遅れをとっていた情報発信能力を充実させ、附属研究所の活動を認識してもらうことからはじめたいと考えています。さらに、外部機関・組織との共同研究を含む連携活動を積極的に進める予定です。

経済学研究科にとどまらず、広く学内、学外の皆様のご支援をお願いいたします。