先輩の声


●後輩へのメッセージ

M2 寺島さん(2007年入学)

 

今から3つのことについてお話したいとおもいます。まず1つ目が履修の仕方、2つ目がゼミと修士論文、3つ目に仕事と大学院の両立について私の経験から思うことをお伝えしたいと思いますので、1つの例として参考にしていただければ幸いです。

1.履修方法

修士課程での最終目標は修士論文、リサーチペーパーを書くことです。そのためにはどのような知識が必要かと考えて1年間の履修科目を組み立てます。ほとんどの方が1年目に22単位分11講義を履修し、2年目は修士論文に集中できるようにしています。

1年目で11講義を履修することは難しいことではないと思います。社会人の方は、仕事が終わってからの6限・7限の講義が中心になると思いますが、土曜日も含めた週3~4日のペースであれば、仕事との両立は充分可能だと思います。

履修にあたり指導教官にアドバイスを聞いた上で、自分の興味のある授業を取ることをお勧めします。私は、経済・経営学部出身ではないため、前期は基礎科目を中心に履修しました。また基礎科目は2科目が必須なので、M1の生徒の多くが一緒の講義を履修していますので、授業の合間や終了後に多くの情報交換や友人を作ることが可能だと思います。講義の中には隔週の6・7限と2コマ続きで行われるものが多いので、前期では、第1・3週は5日講義があり、第2・4週では1日という週によって偏ることもあると思います。後期は自分の興味のある講義を履修しました。後期になると各自の興味によって履修する科目が分散するので、1科目数名程度の講義になると思います。学生が少ない分、講義でたくさんの議論ができると思います

成績の判定基準は試験、レポート、講義への参加度が主なものです。その中でも学部と違い、大学院では講義によって得た知識や考え方を元に、自分で考えてアウトプットしたものを、レポートとして提出するものが多いと思います。

また、社会人の方には長期履修制度があります。仕事や家庭の事情により2年間の課程を3年で履修することができる制度です。入学時、私は仕事の配置転換や長期出張が予定されていたので、講義に出席できるか不明だったので長期履修制度を利用しました。長期履修制度は、途中で変更することが可能です。仕事や家庭の事情等で2年では難しいと思う方は利用されても良いと思います。

2.演習と修士論文

演習のスタイルは指導教官によって異なります。毎週、隔週、月1回など様々だと思いますが、いずれにしても、社会人の方は仕事がありますので指導教官に相談すれば、柔軟に対応していただけると思います。

自分の興味のあるテーマが決まっていれば、指導教官からの指導により、良い文献を教えていただいたり、まだテーマが決まっていないのであれば、まずどういった研究分野があるのか全体を見てから、自分が興味のある研究テーマを見つけていきます。いろいろな論文を見ていくうちに、自分が決めたテーマで論文が書けるのか、自分が本当にやりたいテーマはこれなのかと、悩んでしまうと思います。そういった時に指導教官や同じゼミの仲間や他のM1・M2に話すことが良いと思います。考えていること、思っていることを正直に話すことで、間違っている部分や足りない部分を指摘され、自分自身がどうすればよいのか整理できると思います。

3.仕事と大学院の両立

私は大学院に入学する前に、会社に対して可能な範囲で定時に帰り大学院に行くことで、理解していただけました。職場にしっかりと話しておくことが重要だと私は思います。

6限は5時50分から始まりますが、夜間は講義が6・7限と2時限続く連続講義であることも多く、その意味で関心のある講義を選びそれらを集中して履修することもできます。仕事が忙しい中での講義や、レポートが重なることで睡眠時間が削られ、徹夜をすることも何回もあると思います。全員が当たる壁ですが、全員乗り越えていきます。

最後に。
私の個人的な考え方なので、大学院への志が違う方には間違っていると感じるかもしれません。自分の興味のある事や、必要だと思う事は、少し面倒だったり、難しいことでも積極的に取り組む方が良いと思います。その時にやり残した事、先送りにした事は修士論文を書くときや、大学院を卒業してからやっておけばよかったと後悔することかもしれません。

また、特に社会人の方は、家庭がある方が多いと思います。家庭・仕事・大学院と3つのバランスを取りながら、やらなければいけない時には、そのウエイトを変えていくことが大切だと思います。また集中できる環境を作ることが社会人大学生には必要だと思います。講義、演習、レポート作成、修士論文等には時間が必要です。その分だけ家族に負担がかかります。家族の理解、サポートなしでは大学院生活は絶対に過ごせないと思います。今日の説明会を聞いて、ご家族に大学院入学への理解とサポートをお話していない方は、ぜひ今日帰ってからお話ください。
以上になります。


●経済政策分野専攻の1年間

M1 山崎さん(2007年入学)

1.履修方法

 まず、履修方法についてですが、修士課程での最終目標は修士論文、リサーチペーパーを書き上げることです。そのための必要な知識を習得するには何が必要かと考えて1年間の履修科目を組み立てます。ほとんどの方が1年目に22単位分11講義を履修し、2年目は修士論文に集中できるようにしています。
1年目で11講義を履修すること自体はそれほど難しいことではありません。社会人の方ですと、仕事が終わっての6限・7限の講義を取ることになると思いますが、講義は夜間が中心ですので、週3~4日のペースであれば、仕事との両立は充分可能だと思います。また、特別講義や学外の実務家の方を招いてのワークショップなども履修できますので、土曜日も含めて履修を考えて頂ければと思います。

そこで、何を取ったらいいのだろうと迷われる方もいらっしゃると思いますが、指導教官からのアドバイスを受けられますので、まずは自分の興味のある授業を取ることをお勧めします。ちなみに私の場合は、会計ファイナンス科目を中心に履修科目を構成しましたので、前学期は基礎コースを中心にし、後学期は専門分野を履修しています。講義の中には隔週の2コマ続きで行われるものが多いので、前期では、ある週は5日続くことがあれば、別の週では2日のみであるという変則的になることもありました。

講義自体は、私自身、学問から離れて随分経っていますので、ついていけるのか少し不安もありましたが、基礎コースが設けられておりますので、前学期に基礎を固め、後学期に専門分野、それに続く修士論文に備えることができ、何も心配することなく今は専門分野に入ることができました。

うちの大学院は前学期、後学期と1年を分けていますので、試験や課題も前学期、後学期と2回あります。私の場合、前学期に7講義履修し6講義で試験ないしレポートがありました。だいだい試験やレポート提出は、講義の最終日や7月中が多いので、計画的にこなさないと7月はとても負担が大きくなります。そうならないためにも、4月の最初の講義のときに先生から課題についての内容や、提出期限、評価方法を発表していただけるので、それを頭に入れながら計画を立てていくのが良いと思います。と言っても、働きながらですと、やはり計画通りにいかなくもなりますが、このような課題は、先生から課題が特定されるものもあれば、自身で課題を選択し、それについて書くものもありますから、興味のあるもの、仕事に関係するものを選択しますと、比較的書きやすく、その後の修士論文にも役立つのではないかと思います。

演習についてですが、指導教官によって様々です。毎週1回あるゼミ、隔週で1回あるゼミと形態は異なりますが、いずれにしても、指導教官の先生と相談すれば、時間などは柔軟に対応していただけます。これは演習についてのみではなく、講義の際も社会人には配慮して頂けるので、仕事の都合で少し遅れてしまうとかにもなんとか対応可能ではないかと思います。

2.演習の進め方

演習の進め方については、自分の興味のある分野、修士論文で書きたい分野について、指導教官からの指導により、文献を教えていただいたり、まだ内容が決まっていないのであれば、いくつかのテーマを挙げてもらい、そこから修士論文の突破口を開いたりして、自分の研究テーマを見つけていきます。社会人の方でしたら、大学院に入学した理由が、仕事内容の幅を深めるためや、学問的に教わりたいなどが多いと思いますから、仕事に関係するテーマにすると入っていきやすいと思いますが、演習を重ねていき、文献を見ていくうちに、このテーマで論文が書けるのか、自分がやりたいテーマは果たしてこれなのかと、悩んでしまうことがあると思います。そのような時に道を切り開いてくれるのが指導教官だと思います。そして同じゼミの方たちですね、私はM1のゼミ生が私一人ですので、毎回ゼミの後にM2の方に、修士論文の書き方、文献の探し方、どうやって進めていけばよいか聞いています。本当に指導教官をはじめゼミの方が親切でとても心強いです。

M1の現段階では、修士論文で何を書くかテーマを決めて、それについての資料収集を行うのが一般的でありますが、2年目になりますと本格的に修士論文の執筆に力を注いでいかないといけません。しかし、やみくもに書いていけばいいわけではありません。やはり修士論文としてずっと残るものですし、他の人も見るわけですから、修士論文の書き方というものがあります。それを指導してくれる授業がM1の7月にあります。

  • 修士論文、リサーチ・ペーパーとは何か。
  • 修士論文、リサーチ・ペーパーで何が求められているのか。
  • 論文作成上の具体的な留意点。
  • 参考文献・引用文献の表記の仕方

等々です。修士論文とは、一つのテーマに関するまとまりのある研究論文であり、根拠に基づく理論的な主張を展開することが大事です。そして既存の研究結果を超える何らかの貢献を含む主張ができるようにしなければいけません。そのために新しい事実を調べたり、データをとってみたりと、既存の人との違いをみせなければなりません。これがとても苦労するところで、毎回の演習で発表し、ゼミ生からの質問、指導教官からの適切なアドバイスにより、段々と修士論文の形になっていくわけです。

データの取り方として、うちの大学院は実証分析にとても力を入れており、分析に必要なデータが大学内に入っておりまして、自分の欲しい情報がすぐに入手できるようになっています。ですから、以前のようにデータを集めるのに1週間かかったとかはなく、瞬時にできますので、修士論文以外に、講義のレポートにも役立つと思います。

3.アドバイス

M1の4月に生協で先生、M2、M1の懇親会を開催しています。ここで皆さんの自己紹介も含めて一言を頂くのですが、私のゼミの先生がおっしゃったことが、あえて難しいこと、回り道になるものにチャレンジして下さい、でした。2年間なんてあっという間です。大学院でしか学べないものも沢山あります。私も講義で、数学のあるもの、外書購読のあるもの、先生のレジュメが英語のものと、自分の不得意分野にもなんとか頑張って取っていきました。そういうものは他の人もやはり難しいと思っているので、自然と院生同士の交流もでき、一緒に協力体制に入り、解き方を教えてもらったり、試験の前は社会人の方が学部卒の方と一緒に試験勉強したりということもあったようです。外書購読については、どんな辞書がいいのか、どんなソフトがいいのかと真剣に話し合いました。

院生の中には、自発的にメーリングリストを作成してくれて、何度か大学院内でのお知らせを頂きました。内容としましては、夏の勉強会合宿であったり、前学期お疲れ会だったり、学内の勉強会だったりと、社会人だとどうしても仕事から学校に直行して、授業が終わればすぐ帰るかたちになってしまいがちですが、そのようなときにメールは非常にありがたかったです。
指導教官からは、先生方の研究会などへの案内を頂き、時間の許す限り参加しています。

この大学院は、先生方をはじめ、いろんな職種のかた、年齢層のかたがいらっしゃり、それぞれ志は様々ですが、その方たちと出会えるのも大学院ならではだと思います。そこで何を得られるかは自分次第ですので、2年間は大変ですが、頑張っていただきたいと思います。
来年の春に皆様に会えることを心待ちにしております。ありがとうございました。


●社会人大学院での具体的な履修方法と研究内容について

M2 加藤さん(2006年入学)

1.履修方法

 修士課程の最終目標は修士論文を書くことではありますが、その準備のために修士課程1年目は22単位分の講義科目、つまり11講義を履修し、修士論文を作成するための幅広い知識を習得してきました。

11講義を履修すること自体は、それほど大変ではなく、6限目以降の講義を週4日程度のペースで1年間通われれば十分履修は可能だと思います。というのは、講義の中には隔週で開催されるものが多いですので、例えば毎週月曜日通うとすれば、第1第3の月曜日に開催される科目と、第2第4月曜日に開催される科目の2科目4単位を履修することが可能になるわけです。また、夏、冬に開催された特別講義、ワークショップを履修することもできますので、土曜日も含め週4日程度で22単位を1年間で無理なく履修することができるのです。私の場合も、そのような形で履修し、最終的には1年間で13教科履修することができました。

また講義自体も学力の基礎を補う基礎コース科目がありますし、それを応用する形の授業も多いですので私のような学術初心者でも講義を通じて十分知識を積み上げることができました。また院生同士の討議を中心とする科目もありましたので思っていた以上に楽しく学ぶことができました。

その中で大変と感じたことは、やはりそれぞれの講義で出される課題提出です。例えば私の場合、修士一年時の上期(4月~7月)に張り切って8講義履修したのですが、当然8講義分の課題が課されるわけです。大体の科目においてその課題を最終講義日、もしくは7月中に提出するということが多いですので、課題を放置しておけば7月にレポート、課題が8科目分たまることになるわけです。中にはレポート10枚というのもありますので、これを7月一杯でこなすのはかなり負担になります。それをさけるために必要となるのが計画的な学習です。だいたいの講義において、4月の最初の授業で課題内容と提出期間、評価方法を発表していただけるので、4月から計画的に課題に取り組むことで難なく課題提出ができるようになるわけです。このような課題も基本的には自身で課題を選定する部分が多いですので、興味のある課題を自ら選定することにより、その後の修士論文作成に大いに役立っていたと思います。同時に、指導教員からゼミナール形式で演習指導を受け、専門分野の研究背景を1年時では学びました。

修士2年目は、演習と修士論文の執筆が中心になります。これまで得てきた研究背景を基に、自分の研究テーマを模索することから始まります。実はこの作業が大変でして、自分の修士論文テーマを決定することに私も含め苦労する院生は非常に多いと思います。修士論文には何かしらの新しい発見等が求められますので、これまでに行われている研究と同じようなテーマではだめなんですね。同じ分野のことでも今までにない何らかの新しい研究貢献を求められますのでその模索は非常に大変です。そこで担当の指導教員からの丁寧な指導が受けられる演習が非常に重要となります。

私の演習は大体夜の6時以降に週1のペースで開催されます。演習内容はまず自分の研究テーマを発表し、それについてゼミ生からの指摘、指導教官のアドバイスを受けることから始まります。このような演習を重ねることで、当初暗中模索であったテーマがしだいにクリアーになっていきます。テーマが決まりましたら、あとは文献レビューの仕方、リサーチ方法を指導教員に教わることで修士論文としての形を整えることができていきます。私も現段階ではテーマ、問題点も発見できていますので、あとは形を整える段階に来ています。

2.私の研究内容

実際に私の研究内容についてなんですが、私の研究テーマは、中小企業の事業承継についてです。従来からこのテーマは法律、税制面での問題、あるいは後継者不足の問題がネックとなり円滑に行われないといわれてきましたが、私の研究ではもっと別の角度からこの問題を掘り下げていこうとしております。それは権力の移譲が被承継者から後継者に円滑に行われないのではないかという疑問です。つまり非承継者は名目上地位を後継者に譲ったとしても実質的な権力は株主として履行しているのではないかということです。このことについて、実際の承継企業にインタビュー調査を行うことで、その仮説の発見と検証を行おうという形で現在執筆しております。

実はこのテーマも入学当初には全く別のものでありました。それが演習を重ね、また教授のアドバイスを受けることでこのテーマに行き着きました。社会人の方であれば修論テーマは、これまでの職務経験から、または将来との兼ね合いから検討されると思うんですね。ただ、それが色々な文献を当たっていくうちに、どんどんぼやけてしまい、本当に自分がやりたい研究が見えなくなってくるときがあると思うんです。そんな状態をしっかり見抜いて、自身が取り組むべき研究の方向性を導いてくれたのが指導教員でありました。実は自分がやりたい研究、やるべき研究を一番わかっていらっしゃったのが指導教員だったんですね。ゼミは堅苦しい議論ばかりではなく、先生からのお誘いで学外での交流会やゼミ合宿、また企業訪問、工場見学など様々な催しを企画していただけます。意外と教授との距離が遠くなく、気さくに様々な相談にものっていただいています。非常にいい出会いがあったと思っております。

3.アドバイス

この大学院は積極的であればある程得るものが多いと思います。先の紹介のように指導教官からいろいろなお誘いを頂けますし、指導教官以外からも講義を通じて学会などに誘っていただけることが非常に多いですので、時間が取れる限り積極的に参加されればと思います。また、講義に関してもあえて不得手なもの、難しいものにチャレンジしてほしいと思います。私自身も専門科目以外に会計系の科目も積極的に取ってきました。  中には、実際の企業を自身で選び、理論株価、企業価値を算定した上で、どの企業がどの企業にM&Aを仕掛けるかケース作成をし、それについて討議する授業など実践的なものや、洋書を輪読するもの、英語を交えてディスカッションする講義などもありました。最初は及び腰で受けるかどうか相当迷ったのですが、わが国有数の研究レベルを誇る教員方の講義ですので、やはり受けるべきだと思い、思い切って飛び込んでみました。もちろん授業についていくだけでも大変でしたが、終わってみれば非常に知識は付きましたし、それをやりとげたことで自信も持てるようになりました。

また、院生同士の交流も非常に大きいです。うちの大学院は年齢の幅もありますし、あらゆる志望動機を持った人間が集まっています。教授を目指される方、私のように今後の仕事にいかされる方、また独立を考えられる方、仕事を辞められて学業に専念される方、など様々です。ただ皆、この大学院で何かを得ようという目標は同じでして、院生同士の勉強会、夏の合宿、など自ら立ち上げて積極的に知識を積み上げてきています。ぜひ、このような名市大の積極性という伝統を引き継ぎ、皆様も自主的に勉強会などを立ち上げていただければと思います。


●”産・官・学”による三位一体をめざして

杉本さん(2003年前期課程入学,2005年後期課程進学)

民間会社へ入社して33年後、縁があって厚生労働省の特殊法人に民間会社に在籍したまま出向になりました。 “産・官”の身分で”学”も同時にと思い、50代の後半にはなっていましたが、母校でもある名古屋市立大学の大学院修士課程を受験しました。研究したいテーマがあったこと、私の周囲に社会人大学院に通っている仲間がいたこと、学生時代にお世話になった先生からのアドバイス等が私の意志を固めました。

修士課程1年目は、ウイークデイは一日を除いてすべて講義がありハードではありましたが、色々な勉強をし先生や同期の仲間とともに学び語り合えたことがなつかしく思われます。試験の前には勉強会をしたり、学部から博士前期課程に進学していた若い人たちに助けられたりしました。カリキュラムはとても充実しており、修士課程の最終目標は修士論文を書くことではありますが、その準備のために幅広く学ぶことができました。

修士課程2年になると講義はほとんどなく仲間と会う機会は減りましたが、自主勉強会を行い、我々の先輩方の論文に学ぶとともに、お互いの論文の内容を発表し意見交換しました。そして何より、指導教官の適切なアドバイスで、最初は暗中模索であったテーマがしだいにクリアーになり、必要なデータをとり最終的には「キャリアコンサルタント」に関する修士論文としての形を整えることができました。

私が修士課程を修了する年に博士課程(前期・後期)に改組されたのを期に、博士後期課程を受験し幸いにも合格しました。修士論文でのテーマをさらに掘り下げ、自分のライフ・ワークをこの機会に深めたいと考えています。会社の定年と博士論文の完成とどちらが先に来るかわかりませんが、50代の後半に”学び”を通して充実した人生を送れることに感謝している昨今です。


●入学してからの流れ

山形さん(2001年前期課程入学,2003年後期課程進学)

経済学研究科博士前期課程で、会計学をテーマに研究を行いました。
博士前期課程入学後の一年間は、会計学に限らず、経済学・経営学の講義を履修し、幅広く教養知識を高めることに専念しました。特に、ファイナンス分析や統計・実証的アプローチの習熟は、その後の修士論文作成に大いに役立ったと思います。同時に、指導教員からゼミナール形式で演習指導を受け、専門分野の研究背景を学びました。
また、履修科目とは別に専門分野ごとに研究会が開催されており、自分の興味がある研究テーマに合わせて、いろいろな研究会に自由参加できます。

前期課程の二年目は、修士論文(またはリサーチペーパー)作成に取り掛かるため、それまで得た研究背景を基に、自分の研究テーマを模索することから始まります。現状での問題点や改善点を把握することが第一歩です。
修士論文のテーマが決定したら、これからは演習を中心とした研究体制になります。研究を行うに当り、少人数制の特性を活かして、指導教員から丁寧な指導を受けると共に、同分野または一年目に履修した先生方などから的確なアドバイスをいただきました。夏・秋を目途に分析が完了したら(必要があれば追加検証を行い)、いよいよ論文執筆に着手します。そして最後に、論文審査を経て集大成となる修士論文の完成となります。

現在(この文章を寄稿していただいた当時:サイト管理者注)、同研究科博士後期課程で前期課程中に習得した経験を活かして、研究に取り組んでいます。人それぞれ、博士前期課程での研究目的は異なりますが、修了時には自分なりの目標意識が芽生えているはずです。


●学外で積極的に活動を

古川さん(1996年前期課程入学,1998年後期課程進学)

大学院では、公共経済や地方財政の分野での研究活動を中心に生活しました。
具体的には自分が興味を持った文献を指導教官の指導を受けながら読み進め、その中で見つかった疑問点や問題点を解決する方法は何かを研究しました。そこで一定の成果が出たら論文の形にまとめます。大学院でも講義はあるのですが、大学と比べると数は少なく、その多くは討論形式で進められます。私の場合、博士後期課程になると講義でも先生と私の2人だけというケースも珍しくなく、実質的にはゼミ形式でした。

研究活動に関して、論文が完成したらそれで終わりではなく、その研究成果を多くの人に知ってもらうために学会等での報告や学術雑誌への投稿を行いました。論文作成はもちろんですが、報告の準備は大変な作業です。論文の内容を知ってもらうために、論文で何を行い、どのような結論が出たのかを要領よく説明できなければなりません。
報告を行ったのは、大学内での研究会報告(現在の水曜研究会)や学会、さらに他大学で開催される研究会等です。学外での報告となると初対面の方に対して説明しなくてはならないので、学内の研究会以上に気を使いました。しかし、大学院生にとって学外での報告活動は初対面の方々と討論したり、他大学の先生や院生の研究内容を学んだりと大変有意義なものであります。特に、私が学外で初めて研究報告を行ったのは、私の現在の就職先でありました。現在の就職先の中を見て回ったのはこの時が初めてであり、大学の雰囲気もある程度は感じることができました。

研究活動だけでなく大学院修了後の進路にも何らかの効果があるかも知れませんので、大学院生の時に学外で積極的に活動を行うことはとても重要なことです。